仲町けいとContents

日々の考えを具現化する能力を鍛える。

インターネットと個人情報保護バトルが私たちに及ぼす影響

New York Timesのビジネス記事で、
個人情報保護法の整備がすすむにつれ、
インターネットの機能が今後大きな潮目を迎え、
それが我々消費者にどのような影響を与えるのか、
について掘り下げた記事があった。

www.nytimes.com

具体的には、個人情報保護の観点から
Cookie機能を限定し、Web広告のターゲティングに利用しないよう、
GoogleやAppleなど各社が対策を講じていることを指している。

どのような影響が出るのかまとめてみたい。

 1. 何がおきているのか?

まず始めに、
私たちがウェブブラウザ上で閲覧したウェブサイトやクリックした広告には、
すべて"Cookie"🍪という名の追跡機能(タグという)がつけられており、
ウェブ広告を使って商売する人たちは、そのCookie🍪の記録を使って、
私たちに広告をねらいうちで表示することができる、
ということを頭に入れておいてほしい。

このCookie🍪があれば、
何時にどの場所で、どのウェブサイトを見ていたかということや、
何を買ったか、という購入履歴まで、手に入れることができる。

そのウェブ上の細かな行動記録をもとに、
その人が好きそうな商品を狙い撃ちでウェブ広告を表示できる、
というものすごい機能が、
ものすごい速さで開発され、
ものすごい勢いで広まってきた。

しかしこれに対して、Cookie🍪が持つ情報はプライベートな情報を含むから、
何の同意もなしに利用するのは個人の権利を侵害しており、
やりすぎではないか、
もうこれはやめにしよう、というのが、
今の動きである。

だって自分が見たものや買ったものの記録を
Googleや自分も知らない企業が、自分が知らないうちに持っているのって、
嫌じゃない?

いまどのウェブサイトも、Cookieに同意するポップアップがでてくるのは、
これが理由。
(日本はまだそこまで広がっていないかもしれないけれど。)

2.インターネットはどう変わるのか?

Appleは、個人情報を守る姿勢を打ち出し、
利用者が承認しない限り、Cookieの追跡機能を使えないように設定した。

Googleは、個人を特定しないよう、「グループ単位」(Cohort)に分類して
Cookieを記録する機能を開発し、2023年から運用予定にしている。
例えば「ナイキのジョーダン最新モデルをオンラインで購入」したら、
今の設定だと「ナイキのジョーダン」に関連するウェブ広告が
ばしばし表示されるが、これからは、
「スポーツシューズ」というグループに分類され、
ナイキ以外でもスポーツシューズならどんなものでも、
ウェブ広告が表示されることになる。

3. 私たちへの影響はなにか?

ずばり、商品価格の値上がり、である。

これまでは精度の高いターゲティングで広告を表示できていたため、
費用対効果が高く、
マーケティングにかけるお金が少なくて済んだところが、
今後は精度が落ち、
たくさん広告を出さないとなかなか成果が出ないことになる。
よって、これまでよりもマーケティング費用が高くついてしまう。

企業としては、そのマーケ費用の値上がりを加味して
商品価格を設定せざるを得ず、
結果的に商品価格(あるいはサブスク価格)が値上がりする、
という流れである。

また、Googleの「グループ分け」機能は、
社会的弱者をターゲットにして差別的にウェブ広告が展開される可能性も懸念されている。
例えば「低所得層のグループ」に入れられてしまえば、
ウェブ広告ではローンや詐欺まがいのビットコイン広告など
悪徳広告ばかりが表示される可能性がある、というもの。

Googleはグループ分け機能を定期的にアップデートし
7日以上は追跡できないようにするよう対策しているそうだが、
今後の動向に注目だ。

それにしても、
毎日使うウェブやアプリ上に勝手に表示される広告のために
商品の値段が上がるなんて理不尽な気もするが、
個人情報は守りたい。
ちょっとした法整備が様々な形で自分たちの生活に影響することを意識して
ニュースは読まないとなぁ。